寺子屋

書評ブログです.

歴史

書評:「敗者の条件」会田 雄次

戦国の世における敗者に着目した一冊. 敗因分析をして,先天的に大将の器ではなかったとしている結論が多い.つまり,「この武将には人間的にXXの弱さがあったため,YYのような戦略をとり,その結果敗けた」という分析である. 敗因を個々の人間性について…

書評:「インカ帝国探検記 - ある文化の滅亡の歴史」増田 義郎

インカ帝国の発見から滅亡に至る過程を,コンキスタドールたちの視線を主軸に,インカ文明の解説を交えながらドラマチックに描いた一冊.脚色されているのではなく,小説よりも奇な史実を色鮮やかに伝えている. インカ帝国は結局は西欧諸国に滅ぼされること…

書評:「美学」Alexander Gottlieb Baumgarten

著者のカタカナ読みは,アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン.18世紀の神聖ローマ帝国・プロイセン王国出身の思想家. 本書は,美学を哲学の一領域として確立させた著者の代表作.800ページにも及ぶ大作でありパラパラと眺めるのも一苦労であり,…

書評:「定理が生まれる: 天才数学者の思索と生活」Cédric Villani

フィールズ賞受賞者である著者の研究日記. 数学者の日常や,研究者界隈のアレコレを垣間見ることができる.ゴムボックという存在をはじめて知った. 定理が生まれる: 天才数学者の思索と生活作者:セドリック・ヴィラーニ早川書房Amazon

書評:「通信の世紀: 情報技術と国家戦略の一五〇年史 」大野 哲弥

通信に関する近現代外交史を俯瞰できる一冊.まず海底ケーブルの話から始まり,本書後半では国内通信事業者(NTTやKDD)の組織的経緯までを解説している. おもしろいのは,前半部の海底ケーブルの敷設権利および使用権を巡る各国の思惑,やり取りなどに関する…