寺子屋

書評ブログです.

科学

書評:「もうダメかも 死ぬ確率の統計学」Michael Blastland, David Spiegelhalter

人生における様々な場面で,本当に死に至る確率を紹介した一冊. 改めて数字を見ると,人間はドラスティックな死因に対しては過大評価,些細なリスクについては過少評価しがちということがわかる.著者らがまとめた,各種線源から浴びる放射線量一覧やハザー…

書評:「宇宙を目指して海を渡る MITで得た学び、NASA転職を決めた理由」小野 雅裕

著者の自伝というよりも,人生論という側面が強い.東大ーMIT-NASAと,とんとん拍子の経歴に見えるかもしれないが当時は悩み壁にぶつかっていたと著者は告白している. 生きがいとはなに?俺の生きる意味は?という問いに答えを持っている著者がうらやまし…

書評:「Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット」林 信行,山路 達也

3.11の際にGoogleが果たした役割についてよくまとまっている.というよりも,”Googleの社員”が果たした役割という方が適切だろうか. 本書では,タイトルに72時間とあるように,初動的な対応について述べられている.とにかく,スピードと行動力が凄まじいこ…

書評:「ウォール街の物理学者」 James Owen Weatherall

本書は,金融の世界に物理学が浸透していった様子を人物に焦点を当てて解説している. なかなかドラマがあっておもしろく,様々な理論が確立されていく様子を俯瞰することができた.マンハッタン計画やアポロ計画が終了し,物理学者たちが金融に手を出してい…

書評:「通信の世紀: 情報技術と国家戦略の一五〇年史 」大野 哲弥

通信に関する近現代外交史を俯瞰できる一冊.まず海底ケーブルの話から始まり,本書後半では国内通信事業者(NTTやKDD)の組織的経緯までを解説している. おもしろいのは,前半部の海底ケーブルの敷設権利および使用権を巡る各国の思惑,やり取りなどに関する…

書評:「歌うカタツムリ 進化とらせんの物語」千葉 聡

カタツムリは殻の形状や色が個体群ごとに差異があり,進化の研究の題材として手ごろなのだそう.そんなカタツムリ(貝類)を主役に,「なぜここのカタツムリはこの形状なのか」,「なぜ谷を越えると殻の模様が変わるのか」など素朴な疑問を説明する進化のメカ…