寺子屋

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書評:「ウォール街の物理学者」 James Owen Weatherall

本書は,金融の世界に物理学が浸透していった様子を人物に焦点を当てて解説している. なかなかドラマがあっておもしろく,様々な理論が確立されていく様子を俯瞰することができた.マンハッタン計画アポロ計画が終了し,物理学者たちが金融に手を出していったという時代背景も興味深い.

ただ,そのようにして確立されてきた理論は市場のプレイヤーが人間だけであることを想定しているように思える.昨今のメインプレイヤーはアルゴリズムと言っても過言ではないだろう.アルゴリズムの台頭で金融理論に変化が訪れるのか興味深いところだ.