寺子屋

書評ブログです.

書評:「裁判中毒 傍聴歴25年の驚愕秘録」今井 亮一

裁判傍聴マニア,ジャーナリストの著者が,自身が傍聴した裁判で印象に残ったものをまとめている.

素人向けに裁判の仕組みを丁寧に解説しつつ,法廷現場でしか見られない被告,検察,裁判官のやりとりを仔細に綴っている. 著者は興味をもった事件については,事件現場に直接足を運ぶというようなこともしているらしく,事件の取材記録としても興味深い.

法律や裁判の実態についても語られている.珍しい罪名の一覧などは面白かった. また警察,検察が駆使してくるテクニックも勉強になる. 著者は裁判官については基本的に肯定的であるが,「どっちもどっちのときは,検察の主張については正しい理由をムリにも探し,被告人,弁護人の主張については,徹底的に疑いぬくんだなぁ!」と述べられていた.

個別の裁判エピソードについては人間ドラマとして興味深く読めるのに加えて,法と裁判に対しても教養を深めることができるが一冊.