「無償の贈与は存在するか」これが本書の最大のテーマと言って差し支えないであろう.
どんな場面であれ贈与はなんらかの見返りを求める行為として解釈されうると著者は述べる.儀式的なものであったとしても「精神的な安寧」を求めるという意味では無償とは言えず,贈与の考察の際には常に「それは本当に贈与か」という問いが生じる. しかしながら,この無限の問いこそが贈与の本質だと著者は説く.
正直,循環論法的な結論でうまく理解できなかった.また,死者が強く意図せずして,生者に資産を残すケースは,無償の贈与になるのでは?と考えたり.